スカラベのなく頃に

無印遊戯王の再放送アニメのマリク編をみているうちに、「これってひぐらしのなく頃にに似てね」?
と思い始めてしまった。
そう考えると、因習に縛られた村。突然豹変する人格。「名もなきファラオ」の祟りで父が殺される。
名もなきファラオの生まれ変わり、遊戯。
遊戯は自分にしか見えない「もう一人のボク」と語り合う。
と、共通点がこれでもかと目に付くようになる。
つい、カッとして考えてしまった。後悔はしていない。



スカラベく頃に

平成1X年初夏。
まだ外の世界も知らない二人の姉弟が、初めての街を知る。
エジプト。地下にある因習に縛られた寒村、イシュタール村
事件は、まだ始まってすらいない。



TIPS
・墓守の一族長の日記 89ページ
信じられない。息子のマリクが、”ファラオを見た”というのだ。
本人はファラオとは絵本に載っていたファラオであるというが、
そんなはずはない。誰かが息子に、
「この地には”名も無きファラオ”がいる」という情報を与えたのだ。しかし、それも考えにくい。
私は、ファラオについては決して――特に、息子には――語っていない。
私の集めた資料は厳重に保管してあるし、マリクはまだ字が読めない。
「絵本に載っていたファラオのこと?」と聞いたのはイシズだ。
イシズがファラオについて知り、マリクに教えた可能性は薄い。
マリクが直接、”誰かに聞いた”のだ。
それこそあり得ない。名も無きファラオはあの事件以来、この村ではタブーとされている。
特に幼い子であるマリクにファラオの情報を与えるなど、禁忌中の禁忌だ。

――私は、最悪の可能性を考えることを、あえて避けている。
それはわかる。こうして書いているうちにも、指が震える。
マリクが、本当に、”ファラオに会った”という可能性。
”ファラオ”自体が、己がファラオだとマリクに教えた可能性。
あり得ない。あり得ない。ありえない。ありえない。そんなはずはない。
そう、思いたいだけ? いや、しかし、だって、ファラオは……。
まさか、まさか。私に対する祟りは、まだ終わっていないというのだろうか。
いや、これからが本当の祟りだというのか。
もしも、そうなら。今度こそ私は、それを繰り返してはいけない。
乗り越えなくてはいけない。
これから起きるかもしれない――いや、起きる、惨劇を。





「……マリクちゃんこそ、私たちに嘘や隠し事をしてないかな?」
「…………え。」
口調こそいつもと変わらなかったが、…姉様が初めて見せる表情だった。
とても姉様のそれとは思えない鋭い眼光に私の両目を射抜かれる。

「してないかな? 嘘や隠し事。……してないかな?」
してるよね。隠し事。
…姉様は口にこそ出さなかったが、…そう続けていた。
グールズの結成や…………みんなに感じている疎外感。
…自分の胸に聞くまでもなく…ボクはいくつかのやましさを持っている…。
でも……背中の地図のことをみんなに知らせないのは……気を使っているつもりだ

からだ。
…みんながボクに気を使って名も無きファラオさまの話を隠すように、ボクだって隠

すんだ…。
なら…おあいこじゃないか…?!

「……してないよ。…嘘も。隠し事も。」
「嘘だよ。」

即答され、ボクはぎょっとする。
姉様は食い入るようにボクを見つめていた。
その眼光は……まるで、伝説の聖なる獣、セルケトだ。

「……どうして嘘だって…、」
「マリクちゃん、先週の休みの日、リシドをお見舞いに行ったって言ったよね?!
……私は知っているよ。マリクちゃんは行かなかった。」
ごくりと唾を飲みこむ…。
それははったりなんかじゃなく…事実だからだ。

「外でシャーディーに会ったんだよね?オートバイの写真が載った雑誌を拾って、

オートバイに乗るマネをしていたんだ・・・」

姉様は……全部知っているのだ…。
ボクが父さまに呼ばれ、本家で父さまにされたことも……全部?!

「誰と話していたの。」
「し、知らない人だよ…!」
「知らない人になんでマリクちゃんが話しするの。」
「ぼ、…ボクが知りたいよ!」
「じゃあ何の話をしていたの!」
「姉様とは関係のない話だよ…!」

「嘘だッ!!!」
姉様の叫びが砂漠の合間を木霊していった…。

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「…ありえないんだ。バクラが失踪した日。朝から消えるまで。
マリクがリシドと接触できる機会は…一度も。」

「……ぇ………そ……そんな……………、」

「リシドはマリクとバクラがデュエルする前、誰にも内緒で部屋を変えておいたの

。その間、マリクがリシドと接触することはできないはず…そうでしょ…。」

「…ぅっく……えと…実は朝に…」
「あの日、マリクは私を迎えに来てない。もっと端的に言うね…バクラは、遊戯と

デュエルして敗北して以来、誰にも目撃されてない。」

「……え……っく…イシズ姉様………?」

「…バクラは…、遊戯とデュエルした日、失踪したの。」

電話の向こうが静まり返る。
まるで電話線が切れてしまったかのように何の気配もなく……沈黙する…

「ねえマリク…でもマリクはバクラが失踪する前にデュエルしたと言ったよね!?



「うっく…ぇっく…っく…ぅく…」

マリクの嗚咽が苛む。でも私は間違ったことは言ってないはず…

「お願いマリク…本当のことを言って!貴方は本当はバクラを・・・!」


「うっく・・・ひどいよ姉様・・・…っく……ぅっく…く…くけけけけけけけけけけけけ

けけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ
けけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ
けけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ





私、リシドは命を狙われています。
なぜ、誰に、命を狙われているのかはわかりません。
ただひとつ判る事は、名も無きファラオさまの祟りと関係があるということです。
遊戯と海馬は犯人の一味。
他にも大人が4〜5人以上。白い飛行船を所有。

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ここは切り取られている

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どうしてこんなことになったのか、私にはわかりません。
これをあなたが読んだなら、その時、私は死んでいるでしょう。
…死体があるか、ないかの違いはあるでしょうが。
これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。それだけが私の望みです。